テレビ放送が席巻した人気が押し寄せた。

和成です、あげづけを納入するのは高山市中心部で豆腐などを生産する古川屋だ。
古川文夫社長は下呂には味を付けたあげの漬物があると聞き、自分も作ってみようと思ったと30年前を回想する。
モデ ルがあったわけではなく、妻と2人で試行錯誤の末、しょうゆやミリンで味付けして、満足のいくものが誕生した。
新商品を作ろうと思い立ったのは、大手の豆腐メーカーが出荷を増やす中で、中小の豆腐製造業者が次々に廃業に追い込まれる現実があったからだ。
古川社長自身、取引先の地元スーパーが倒産し、売掛金が回収できない危機に見舞われたが、あげづけのヒットに救われた。
豆腐を手で揚げてあげを作り、味を付けていく作業は大手にマネできないという自負がある。
東京の居酒屋店にも定期的に出荷し米国から注文が舞い込む。
あげづけを店で買って、自宅で食べた。軽く焼いてみると、ふわりとした食感で、さっぱりした味わい。
生で食べてみると、少しもっちりしていて、しょ うゆの味が鮮明だ。
特別な郷土料理というより、日々の朝食や夕食の一品にふさわしい印象がする。
もちろん酒のアテにもなりそうだ。
古川屋の製品のヒットに触発されたのが、同じ高山市の豆腐店、宮春だ。
栄雄一社長は数年前、以前作っていた味付けあげの生産を再開。
あげをしょうゆなどで炊き一個一個手で絞っていると手間をかけていることを強調する。
その後ニンニク味、みそ味を投入した。
同じ味だと飽きられてしまう。
増産する方法を考えたいと意欲をみせる。
高山から少し離れた下呂市
山が囲む集落で食料品店たつのや食品を経営する前野辰己さんにも、テレビ放送が席巻した人気が押し寄せた。